春は、公園も鳥たちのさえずりでとても賑やかです。ヒヨドリの群れは新芽をついばみに、メジロは花の蜜を吸いにやってきます。その中でも一番目立つのは、ウグイスです。ホーホケキョという鳴き声は有名ですが、そのウグイスの姿形を知る人はあまり多くないのでは?なぜならウグイスは、とても臆病で滅多に姿を見せてくれないからです。(実は、ウグイス色とはメジロのような黄緑色ではなく、灰色がかった緑褐色なんです。)
また、4月は、北半球のあらゆる場所で「春の渡り」が始まります。真っ黒な頭がちょっとユーモラスな、夏羽のズグロカモメが観察できるのもこの季節の楽しみの一つです。
夏になると、一気に野鳥の数は少なくなります。野鳥が少ない季節とはいえ、ヨシ原からはけたたましく『ギョギョシ、ギョギョシ』と鳴く声が聞こえます。夏鳥として繁殖のため日本にわたってくるオオヨシキリの鳴き声です。カイツブリの子育てやミサゴなど猛禽類たちによるハンティングシーンも見られます。また、干潟やヨシ原には、野鳥たちのエサとなるカニや魚、昆虫など実に多様な生物がいます。
秋から冬にかけては、最も野鳥観察が楽しめる季節となります。シベリアや中国大陸から厳しい冬を乗り越えるために渡り鳥が日本へと戻ってきます。干潟には、北から南へ渡る「シギ」や「チドリ」の仲間が増えます。杭で休息をとったり、カニを捕まえたりする様子が観察できます。また、ハマシギの群れがまるで一つの生き物のように右に、左に旋回する様子には思わず目を奪われます。『渡り鳥の交差点』は、シーズン一番の賑わいを見せます。
冬の淡水池は、様々な種類のカモで埋め尽くされます。オスのカモたちはメスへのアピールのため美しい飾り羽をまとい求愛行動を繰り返します。また、世界で4000羽しかいない貴重な鳥『クロツラヘラサギ』も越冬のために渡ってきます。(山口湾には、毎年、30羽ほどのクロツラヘラサギが渡ってきます。)名前の通りヘラのような形をしたくちばしを水の中で左右に振り、くちばしの間に入ったものを捕まえて食べます。その捕食シーンは、どこかユーモラスで多くの人に愛されている野鳥です。
県立きらら浜自然観察公園で見られる野鳥や干潟の生物たちは実に多種多様です。鳥たちのさえずり。野鳥たちの華やかな飾り羽、空をはばたく力強い姿、子育ての微笑ましい様子、その全てがメッセージとなり、自然保護へのささやかな一歩につながればとの思いで、山口放送は今後も発信を続けていきます。