山里の菖蒲園に異変が

2015年6月12日

ことしもハナショウブの季節になりました。

萩市木間(こま)地区のハナショウブ園も

6月15日頃に見ごろを迎えそうです。

しかし、今年は思いがけない問題が起きています。

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ここは、森川克己さんが退職記念にと

職場の仲間からハナショウブをもらったのをきっかけに、

休耕田を菖蒲園にしたものです。

茅葺の建物はほとんど一人で建てました。

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森川さんの育てたハナショウブは、

花が大きくて見ごたえがあります。

私は、こんなに大きなハナショウブが咲き競うのを

他では見たことはありません。

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私は、記者だった頃から毎年のように取材させていただき、

森川さんがこつこつと手作りで整備する姿やその思いなどを

KRYテレビの特集として放送させていただいてきました。



テレビを見た方々が遠方からも訪れるようになり、

近年では山里の菖蒲園としてすっかり有名になりました。

さらに今年は大河ドラマのロケ地(主人公の幼少期を描いた

第1話)にもなりました。

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しかし、今シーズンは様子がこれまでとは異なっています。

花の数が少なく、ハナショウブの畝が

大きく崩れてしまったところもあります。

雑草だらけになっているところもあります。

花ひとつひとつの大きさは十分なものの、

全体的には違和感があります。

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その原因はイノシシです。

園内に侵入し、荒らしてしまったそうです。

イノシシはミミズなどを食べようと、

鼻先で土を掘り起こします。

ハナショウブの根元あたりの土も広い範囲で

容赦なく掘り起こしました。

多くの人の心を癒してくれている菖蒲園は、

踏み荒れされ、掘り返されています。



愛情を込め、特別な思いでこつこつと作ってきた菖蒲園。

森川さんの落胆は、ことばで表現できないほどでしょう。

高齢のため体力的な限界もあり、

だんだんと手入れが行き届かなくなっていることに加え、

イノシシの被害・・・。


訪れてくれる人を真心でおもてなしするのを

生きがいとしてきた森川さんですが、

「これ以上続けていく気力を失ってしまいました」と話します。



県内の農林業の野生鳥獣被害の大きさについては、

ニュースで取り上げたことがありますが、

私はその現実のひとつをここで目の当たりにしました。


鳥獣被害の大きな問題は、そのときの被害だけでなく、

被害を受けた人のその後の働く意欲をも喪失させてしまう

ということです。作物を愛情を込めて育ててきた高齢者ほど、

その度合いは大きいでしょう。



この日にはまだ蕾も多かったハナショウブ。

困難に負けず、大輪の美しい花を咲かせて、

ご主人様をしっかりと励ましてほしいと思います。




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