■事件・事故の被害者へ高校生が「コーヒーで支援」人と人をつなぐ(熊本県)
第一高校の生徒たちが手掛けた青と白のラインが特徴のコーヒー。名前は「IKKOFFEE」です。
このコーヒーには特別な思いが込められていました。
■第一高校生徒
「第一学校オリジナルコーヒーのIKKOFFEE販売しています」
寒空の中、コーヒーを販売する第一高校の生徒たち。
人と人とをつなぐコーヒー。生徒たちが販売するのにはある目的が…。
■第一高校2年 大串倫子さん
「被害者支援の取り組みをしています」
こう話すのは、リーダーの大串倫子さんです。ボランティア委員会を中心に、自分たちで焙煎したコーヒーを販売。売上を犯罪被害者支援団体に寄付する活動を行っています。
支援の輪を広げたいとことし5月から始めたこの活動。きっかけは、ある夫婦との出会いでした。
■深迫祥子さん
「息子が救急車で運ばれたと亡くなったと聞いたのはそのあとだった本当に何が何だかわからず」
深迫祐一さんと祥子さん。6年前、交通事故で息子の忍さん(当時29)を亡くしました。
『コーヒーは人と人をつなぐもの』。バリスタだった忍さんがよく口にしていた言葉です。
忍さんの遺志を継いで深迫さん夫婦は熊本市内にカフェをオープン。収益の一部を交通事故や犯罪の被害者支援活動に充てています。
そして、深迫さん夫婦と交流のあった第一高校の先生の働きかけもあり、生徒たちの活動が始まりました。
■第一高校2年・大串倫子さん
「(深迫さんが)たくさん心ない言葉をかけられることとかがあったっていうのをお聞きして、やっぱり知ることが大切なんだなと思って。被害者支援をすることで誰かの助けにもなるし、知ることで誰かが傷つかなくてよくなるようになったらいいなって思いました」
高校生が始めたオリジナルのコーヒー作り。深迫さんに教わりながら焙煎から行います。
■深迫祐一さん
「(香りを)かぐときは出来るだけ顔を近づけて、火傷せんごとね…動きを小さくしないと、ここからまた冷たい空気が入るんで」
なかにはこんな生徒も…。
■第一高校1年・柏木志穏さん
「実はコーヒー苦手だったんですよね。深煎りを試してみたらめちゃくちゃおいしくて。家でもよく飲むようになりました。」
目指すコーヒーの味は…?
■第一高校2年・大串倫子さん
「ちょっと深めで、酸味よりも苦味があって。たくさんの人においしいって言ってもらえるぐらいのバランスを意識して作りました」
深迫さんと生徒が試行錯誤を重ねます。
「さあ、あとは味やね」
「あ、うま!」
「私も好きな味。この苦みの中にもちょっと甘みが残るようなね」
生徒たちが手がけた「IKKOFFEE」が完成。いよいよ販売です。12月6日。チャリティーイベントの会場に生徒たちの姿がありました。一杯のコーヒーを通じて犯罪被害者の支援につなげようというこのイベントは、深迫さんたちが企画しました。事件や事故で命を落とした人のパネルや被害者支援の取り組みの展示を、コーヒーを飲みながら見ることができます。
■第一高校生徒
「第一高校オリジナルコーヒーのIKKOFFEE販売していまーす!」
「香りもたっていてコーヒーになっています。ありがとうございます」
■第一高校2年・大串倫子さん
「第一高校の生徒会が焙煎させていただいたコーヒーになっていて、売上は被害者支援の団体に寄付させていただきます」
「苦みと甘みを調整しながら飲みやすいコーヒーを作りました」
「焙煎もしてるんですね。すごい」
■来場者
「おいしいコーヒーも飲めるし、 しかも普段わざわざ調べて被害者支援とかしようってなかなか思いつかないので、こういうふうに手軽にできるのはすごくいい機会だなと思います」
幅広い世代の人が足を止めてくれます。
自分たちの思いに共感し、ひたむきに活動する高校生たちに深迫さんは…。
■深迫祐一さん
「犯罪被害者の遺族の方ではない若い子たちがこうやって活動していただけるというのはやっぱり非常にうれしいし、そういう思いで活動してもらうと、世の中から犯罪も減るのかなっていうのが思いですね」
■第一高校2年・大串倫子さん
「被害者支援について説明させていただいたときに、思ったより多くの人が足を止めて話を聞いてくださったのがすごく印象的でした。もっとさらに多くの人にこの活動を届けて、支援の輪を広げて、たくさんの人を笑顔にできたらなと思います」
忍さんから両親へ、そして高校生から未来へ。コーヒーがつなぐ思いは、広がり続けています。
第一高校の生徒が手掛けたIKKOFFEEは、12月20日にグランメッセ熊本で行われるイベントでも販売する予定です。
(12/12 19:48 熊本県民テレビ)
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