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"内密出産"運用開始4年で60人の命「意義深いと思っている」慈恵病院が公表(熊本県)



熊本市の慈恵病院で、病院にのみ身元を明かして出産する「内密出産」の運用が始まって4年となります。病院は11日、この4年間で60例の内密出産があったと公表しました。



慈恵病院を旅立つ日。内密出産で生まれた赤ちゃんです。

■新生児相談室スタッフ
「ここで生まれた赤ちゃんが養育里親さんのおうちに預かっていただく大事な日お迎えの日です。赤ちゃんも待っていますね。大事な日なのでこのベビードレスも寄付でいただいた大事なお洋服みんなで赤ちゃんに幸せになってほしいなという気持ちで着せています」

様々な事情で妊娠の事実を明かしたくない女性が病院にのみ身元を明かして出産する「内密出産」。内密出産で生まれた赤ちゃんは、一定期間病院に滞在したあとは、乳児院や一時的に子どもたちを預かる里親のもとに移ります。

「生まれたときよりずいぶん大きくなったね」

たくさんの人たちに見守られて生まれてきたことを知っていて欲しい。成長の足跡をアルバムに残して未来の家族に託します。慈恵病院で内密出産の運用を始めてから4年間で60人の命が誕生しました。去年12月からことし11月までの1年間には22例の内密出産が実施され、過去最も多くなりました。

女性の年齢別では
■19歳以下…3例
■20代…18例
■30代以上…1例 でした。

居住地では、県内を含む九州から7例、次に多かったのは関東からの6例です。そして母体に緊急性の高い処置が必要なケースが1件ありました。胎盤が自然に剥がれず大量の出血があったといいます。


■慈恵病院・蓮田健理事長
「自宅で1人で出産していたら大変なことになったと思います。孤立出産というのは非常に危険な行為ですので、陣痛が来る前に母子をを病院で保護するというのは内密出産は意義深いと思っています」

また「未成年者」の事例もあり、病院が聞き取りをしたところ家族からの虐待の疑いがあったため内密出産を受け入れたケースもありました。こうした内密出産に至った理由としてほとんどの女性が「親に知られたくない」との理由を語っているといいます。

内密出産をめぐっては、東京の賛育会病院もことし3月から運用を始めているほか、大阪の泉佐野市では来年度から行政主導の取り組みとして実施開始を目指しています。国の法制度がない中で運用の広がりについて慈恵病院の蓮田健理事長は、運用側に不安のない制度づくりが必要だと話します。

■慈恵病院・蓮田健理事長
「赤ちゃんを助けたいという思いは共通ですが美しさとかきれいごとでは済まされない。覚悟が必要なので、日本の内密出産の運営は難しいと思っています」


(12/11 19:36 熊本県民テレビ)

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