■観光客にも住民にも配慮した「持続可能な観光都市へ」オーバーツーリズムへの備えとは?《長崎》 (長崎県)
国の内外から多くの観光客が訪れる長崎。
一方で、地域に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」への備えが始まっています。
持続可能な観光都市を支える企業の取り組みです。
◆クルーズ船の寄港数も全国3位 観光地に人が戻ってきた!
大型連休を迎え、多くの観光客でにぎわう長崎。
かつて新型コロナウイルスの影響で閑散としていたまちにも、活気が戻ってきました。
(土産店)
「30倍ほどになっている。全然お客さんがいない坂もみているし、観光客が増えているのは間違いない。実感もある」
(土産店)
「中国のクルーズ船がたくさん来ている。欧州や欧米、他のアジアの国も多くなってきている」
観光統計によりますと、おととし、長崎市を訪れた人は約532万人。
新型コロナウイルス流行以前の、2017年〜2019年と同水準に回復しました。
さらに長崎港へのクルーズ船の寄港数も157回を数え、全国3位にランクイン。
大型客船によるインバウンド需要が急速に回復しています。
◆“持続可能な” 観光地づくりのために…
こうした動きに対し、長崎国際観光コンベンション協会は…。
(事業本部 誘客受入チーム 吉冨 章 課長)
「イベント時やクルーズ船が来航する時、短期的、局地的に人が多く来ている状況は発生している。それ自体は非常に喜ばしいこと」
特定の観光地に人が集中しすぎることで、地域の環境や住民生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」。
長崎ではまだ深刻化していませんが、観光客の急増による交通渋滞や住環境への影響を、未然に防ぐ対策が進められています。
(事業本部 誘客受入チーム 吉冨 章 課長)
「クルーズ船が来航したときの例でいうと、2000人のお客様が来るケースもある。混雑があらかじめ予想される場所には、警備員の配置を行って渋滞混雑の緩和に努めている」
観光の経済効果をいかしながら、地域住民の暮らしや環境へ配慮する “持続可能な観光地づくり” に向けた取り組みも進んでいます。
(事業本部 誘客受入チーム 吉冨 章 課長)
「"長崎市版サステナブルツーリズム" と掲げ、歴史や文化に基づく地域の資源を付加価値を高めて、訪問していただく方に提供していく。文化が継承されて、長崎市の観光が持続的に持っていけると思っている」
◆公共交通機関でも「オーバーツーリズム」への取り組み
オーバーツーリズムの取り組みは、民間企業でも。
交通の面で課題に向き合ってきたのは「長崎バス」です。
外国人観光客にも分かりやすいように、路線図や乗り場案内を刷新したほか、「ながさき観光ルートバス」は、JR長崎駅を中心に主要観光地を巡る路線にリニューアルしました。
(長崎バス自動車部 井手 毅 課長)
「グラバー園と原爆資料館を、直接結ぶバスとしてリニューアルした。もちろん長崎駅を通過するので、利便性が向上したと思っている」
観光地への移動が便利になることで、観光客が分散し特定のエリアでの混雑や集中を防ぐ狙いもあります。
(長崎バス自動車部 井手 毅 課長)
「観光の分散化を図ることによって、スムーズに移動できることを考えている。地元の客も観光客も、どちらも快適にスムーズに乗車できる取り組みを今後も続けていきたい」
◆紙のパンフレットに頼らないスマートな観光を
デジタル技術を活用した観光支援も進んでいます。
地図大手のゼンリンが手がける 観光型MaaSアプリ「ストローカル」。
(ゼンリン 小川 昭太郎さん)
「定番を巡るだけの日帰りの観光ではなく、町歩きによる滞在型の観光に変えていきたいという課題から(アプリを)開発した」
観光情報の提供だけでなく、電子チケットの購入やスタンプラリー機能などを備えた “総合型の移動支援ツール” です。
アプリでは周辺の観光スポットを検索したり、地図アプリと連携してスムーズに目的地にたどり着くことが可能に。
紙のパンフレットに頼らないスマートな観光が、若い世代を中心に支持を集めています。
(ゼンリン 小川 昭太郎さん)
「観光客に向けたアプリではあるが、地元の人にも使用してほしい思いもある。地域共創という意味合いでも、地域を元気にしたいということも含め、ストローカルを始めている。観光客を含めた地元に根付いたサービスにしていきたい」
観光が “まちにもたらす恩恵” を守りながら、地域の暮らしも大切にする。さらなる観光需要の増加を見据えた準備が必要不可欠です。
(長崎国際観光コンベンション協会 吉冨 章 課長)
「地域の観光資源をいかして、交流人口の拡大に取り組んでいかなければいけない。
誘客の平常化を行うとともに、周辺住民に理解をいただきながら、おもてなしの環境づくりという機運の醸成も含めてやっていくことが大事」
100年に1度の変革期を迎えた「長崎」は、"持続可能な観光都市" に向けて、未来への備えを進めています。
(05/01 20:55 長崎国際テレビ)
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