■【特集】自分らしくB田んぼの中に小さな図書館 人が集まる田んぼを 農家を目指す女性(岩手県)
シリーズ「自分らしく」です。3回目は、田んぼの中にポツンとたたずむ小さな図書館です。図書館を作った奥州市出身の女性の思いを取材しました。
頭を垂れた稲穂が収穫の時を待つ、奥州市胆沢の小山地区。東京からUターンして、農家を目指す女性がいます。奥州市水沢出身の高橋有紀さんです。
奥州市が募集した新規就農を目指す"協力隊"として、去年4月から農業に取り組む高橋さん。以前は、東京で週刊誌のライターとして活動していましたが、全国の生産者を取材する中で、農業に興味を抱くようになりました。
"協力隊"の活動の一環として、高橋さんが 今年8月、新たに設置したものがあります。休耕田の中にポツンとたたずむ、ベンチと小さな箱。
地元の製材所に製作を依頼して、地元の小学生に絵を描いてもらった「リトル・フリー・ライブラリー」です。アメリカ発祥の、誰でも自由に利用できる小さな図書館。
本箱には、この活動に賛同した東京時代の友人などが、寄付してくれた20冊ほどの様々なジャンルの本が並びます。
"読んでみたい"と思える本を、高橋さんが選んでいます。
高橋さん
「これ田んぼの中でやったら面白いかもなって思い始めたのが今年入ってから、 今年4月ぐらいでしたかね。想像していたより、すごくいい景色になったなと思って、すごく大満足なんですけど、なんで田んぼの中なんですかみたいな事を聞かれたりもしましたけど、何か行ってみたら田んぼの中にある理由がよく分かりましたっていう風に言ってもらったりして、来てくれた方はすごくいい場所だねって言ってくれるので」
高橋さんは、2006年に設立された農業組合法人「アグリ笹森」の皆さんと共に、農作業をしています。米作りに関して、知識豊富な先輩方です。
一緒に働いて、1年半。組合長の織田さんも、期待を寄せます。
織田さん
「農業をかなり勉強されている方で、これは私たちのかなり戦力になるなと、労働力だけに限らずですよ。外部に発信するっていう得意技もありますので、彼女の戦力というのはものすごく大きい力になっていました」
農作業の合間に、高橋さんはライターとしての経験を生かし「アグリ笹森」のPR活動にも取り組んでいます。この日は、11月に開催を予定している"収穫祭"の、チラシやのぼりを デザインしていました。
高橋さんは、コンバインを運転するために大型特殊自動車免許も取得しました。
高橋さん
「農業、楽しいですね。楽しいっていうか、すごく気持ちいいですよね、ここが仕事場っていうのが、すごくぜいたくだなと思います」
奥州市水沢出身の高橋さんには、農業の中でも、米作りを選んだ 理由があります。
高橋さん
「やっぱりここはすごく米作りに恵まれた土地なので、 やっぱりここでやるならお米を作りたいなという風に決めました。どうしてもお米、米価の事という切り口で取り上げられる事が報道とかは特に多いので、それだけじゃない田んぼの楽しさとかそういう所を伝えたいなという気持ちはあります」
この日、高橋さんは、「リトル・フリー・ライブラリー」が設置された休耕田を訪れました。快く場所を提供してくれた、若槻さんの草刈りのお手伝いです。
高橋さん「ありがとうございます草刈り。 どの辺から?」
若槻さん「川沿いの芳 お願いします」
高橋さん「川沿い、はい。暑いですね」
"小さな図書館"を訪れる皆さんが、気持ちよく利用できるように。同じく農業を営む若槻さんは、高橋さんのよき理解者です。
若槻さん
「こうやって田んぼに入る機会ってなかなか無いのかなと。新しい発見とかしてもらえれば、 四季の顔がありますし。楽しみながらやれば結果は自ずと出てくるかなと思いますので。 これからも応援していきたいなと思っています」
高橋さんには米作りを通して、 守りたいものがあります。
高橋さん
「私にとっては本当に故郷の風景と言えば田んぼの風景ってあるのですけど、今後はやっぱりコメ農家として、自分の田んぼを持って、おいしいコメを作りながら、みんなで田んぼを楽しめるような場所を広げて行けたらいいなという、 はい。描いています」
人々が集まる"田んぼ"を。新たな"米作り"に挑戦する「高橋」さんの夢は、澄んだ 秋の空のように広がります。
(10/23 18:38 テレビ岩手)
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