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【特集】自分らしくAプロサッカー選手から教壇へ 元いわてグルージャ盛岡GK土井康平さん(岩手県)



今月は"自分らしく"をテーマに唯一無二の輝きを放つ岩手の人々を紹介しています。今回はいわてグルージャ盛岡で守護神として活躍した土井康平さんです。今、高校の教壇に立ち、簿記を教えています。

■ 盛岡誠桜高校
生徒「お願いします」土井先生「お願いします」

生徒たちが取り組むのは、商業簿記。

土井先生
「引く630万が100万。だから借り方貸方は絶対数字一緒になるやん、わかる?」

教壇に立つのは、岩手にゆかりのある、あのJリーガーです。

■引退会見
土井さん
「この15年に悔いはなく、次のステージに進めるので、本当に幸せに思っています。お世話になりました、ありがとうございました」

いわてグルージャ盛岡の元ゴールキーパー、土井康平さん。2012年の加入から9シーズン、ゴールを守り続けました。J3参入、J2昇格、クラブ存続の危機。チームと共に歩んだレジェンドが、今新たな道へ進みます。

■授業
今年の春、盛岡誠桜高校サッカー部のキーパーコーチに就任。学校では講師として教壇に立ちながら、教員免許の取得も目指しています。サッカーと簿記。少し意外な組み合わせです…

授業の合間の時間、土井先生は自らも簿記の問題集に取り組んでいました。

土井先生
「サッカー部のコーチ込みで商業科の先生になるというセットだった。ずっと勉強していたら逆に楽しくなった。大人になってある程度知識も得て、前職は営業とかもやっていたので、いろんな勘定科目だったりとか、これがこういうことだったのかっていう。また1から1人の人間としてやっていくっていうところをすごく意識してやっています」

ノートには重要ポイントがびっしり。さらに別のノートに清書して覚えるのが土井先生のスタイル。

土井先生
「自分が学生だったらできないですよ。大人になって興味持って。よりその時間も苦じゃないみたいなところなので」

勉強ノートには懐かしいページが。

土井先生「現役時代のかなり昔の(サッカー)のノート」

当時の試合や課題などが細かく書き込まれていました。

土井先生
「これは一番最初、グルージャに来た時のかも。2012年なので。当時はまだ地方リーグだったので。まぁノートが使えたら続きに書いただけなんですけど、生徒とかが何書いてるの!?って(笑)」

■授業
土井先生「わかる人を言ってください。借方の金額」
生徒「貸倒損失」
土井先生「はい、正解」

Q土井先生の授業は?
女子生徒「わかりやすく説明してくれるので、めっちゃ分かりやすいです」

Q土井先生がプロサッカー選手だった頃は知ってますか?
女子生徒「全然知らないです」
男子生徒「知ってました。スーパースターだっいうのも。生徒にもすごい優しくて最高の先生です」

土井先生
「生徒からもいろんな刺激をもらいながら、何より自分が一生懸命やらないと生徒のも伝わらないので。資格を取らせてあげて卒業してもらうというところまで自分の責任だと思ってしっかりやりたいと思ってます」

■練習
高校サッカー選手権、初戦まであと1週間。グラウンドでは熱い練習が始まりました。

土井先生「あぁー!もう一丁!頑張れ!」「こういう練習は人に追い込まれなきゃできんから」「止めて終わり!OK?!」

主将GK南川喜透 選手(3年)「自分たちとは違う視点でいろんなことを教えてくれる。キーパーの細かいこと1つ1つまで言ってくれる」
GK 久慈凌聖選手 (3年)「きついです。選手権の週にこんなに追い込むの!?」

土井さんはコーチとして、再び勝負の世界へ戻ってきました。

■試合
今シーズン最後のリーグ戦。来季につながる大事な一戦でしたが、自分たちのサッカーができず敗戦。土井コーチはこう言葉をかけました。

土井コーチ(敗戦後の選手たちへの言葉)
「頑張ってても頑張ってても報われないもんなんよ。人生。俺もそうよ。なんか人生ってそうなってる。何か知らんけど。だけど。戦うことをやめたらあかんねん。人っていつか忘れるの。優勝したことも何年後かになって、あれ?あの年どこが優勝したっけ?ってなるから。でも負けた記憶って残るやん、、ずっと悔しい気持ちって、それが強みよ。だから絶対に逃げるな、何回も言うけど、この負けから。また頑張ろうや」

土井さんの言葉にある栄光と挫折の重み。その言葉を胸に選手たちは再び立ち上がりました。

土井さん
「まず、今は本当に生徒のためにというところで生きてるので。まだまだ授業は生徒たちに助けてもらいながらとか、周りの先生に助けてもらいながら成り立っている状況なので、そこをまず独り立ちして面白い授業ができるように、サッカー部はまず全国選手権で全国出ること。泥臭くサッカーを続けてもらってプロに出ていけるような、世界に、盛岡誠桜高校っていう名前出てくるようになれば一番嬉しいことだと思います」

幾度となくゴールを守ったその手は、今未来を育てる手へ。土井さんの挑戦はまだ続きます。

(10/16 18:39 テレビ岩手)

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