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「農家の尊厳を感じられるような世界に…」福島の農家が政治に求めること 参院選「一票にこめる思い」(福島県)



事実上の政権選択選挙とも言われている7月20日投票の参院選。県内には連日、各党の代表が訪れ舌戦が繰り広げられています。
「ゴジてれChu!」ではシリーズで、県内の様々な立場のみなさんに「一票にこめる思い」を聞きます。
2回目は米の価格高騰で注目が集まる「農業」についてです。

福島では現職と新人あわせて5人が立候補した今回の参院選。県民は一票にどんな思いを込めるのか…。

今回、ゴジてれChu!が向かったのは猪苗代町。
田植えを終えた田んぼで行われていたのは、水の通路を作る「溝切り」という作業です。
こうすることで田んぼの水はけが良くなり、高品質な米ができるといいます。

およそ300年続く米農家の8代目・土屋睦彦さん(45)です。

*つちや農園 土屋睦彦さん
「こだわりはおいしい米を育てるということで、どれだけ米の味にネガティブなものをのせないか。
目標やモチベーションの上がることを常に大切にやっています。」

「米のおいしさ」にこだわり、農薬の使用を最低限に抑えた米作りを続けている土屋さん。
これまで、米の味や品質を競うコンクールで金賞に輝くなど全国からも注目される米農家の一人です。

そんな米と言えば…スーパーの棚から突然、米が消え価格が全国的に高騰した「令和の米騒動」。
価格は去年の2倍ほどまで上がり、家計を直撃しています。

*小泉農水相(5月)
「米についてやれることは徹底的にやって、まずは熱くなりすぎている米のマーケットを冷やす。」

こうした中、政府は食糧備蓄として保存していた「備蓄米」を次々と放出。
米の価格対策に乗り出していますが、米の価格はいつ落ち着くのか収束の気配は見えていません。

米騒動で揺れるのは消費者だけではありません。
土屋さんの農園では収穫した米をネットで直売したり飲食店に卸したりしていますが、今回大きな影響を受けました。

*つちや農園 土屋睦彦さん
「あまり相場に左右されないで値段を決めようとしたが、周りがすごく上がっちゃったので、うちの米が相対的に安くなってしまった。
結構大変でしたね、その対応に追われるのは。」

一方、ここ数年は農業機械や燃料費も高騰。
米騒動以前の価格では、農家にとって米を作っても利益が出ない状況だったといいます。

*つちや農園 土屋睦彦さん
「(記者)ここ数年のお米の安かった時代は?(土屋さん)地獄ですよ。」
「直売も周りが安いから(価格が)引っ張られる。400万くらいの赤字が出てそれで済んだがきつかった、思い出すのもイヤ。」

今は5キロ2千円ほどの備蓄米もスーパーなどに並び始めていますが、はたして米の適正価格はいくらなのか。
消費者と農家それぞれが納得できる答えはまだ見えていません。

*つちや農園 土屋睦彦さん
「農家もつらい、消費者もつらい状況はまずいと思うので、その辺の折り合いは価格なのか、農政でやるのか方法は色々あると思うが。」

米騒動をきっかけに、今回の参院選では農業を巡る政策も大きな争点の一つとなる中、土屋さんは一票にどんな思いを込めるのでしょうか。

*つちや農園 土屋睦彦さん
「農家の尊厳。(農業は)どうしても(国に)守られているとか、そういうイメージが強い。
農家の尊厳を感じられるような世界になれば、これから農業を志す人も増えると思ったから。」

令和の米騒動を収束させ、主食であるコメの政策に政治はどのような道筋をつけていくのか…
参議院選挙は今月20日、投開票です。

(07/11 18:35 福島中央テレビ)

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