■一票へこめる思い∴レ住したアーティスト「福島の子どもたちの想いを届けたい」 福島(福島県)
事実上の政権選択選挙とも言われる、今回の参院選、投票は今月20日です。「ゴジてれChu!」では5日間にわたって県内の様々な立場のみなさんに一票へこめる思い≠聞いています。被災地で子どもたちに歌やダンスのレッスンをしている、アーティストです。
福島では、現職と新人、あわせて5人が立候補した今回の参院選。県民は、一票にどんな思いをこめるのか…。今回、ゴジてれChu!がお話を伺ったのは…こちらの方…南相馬市で子どもたちに歌やダンスのレッスンをする、シンガーソングライター狩野菜穂さんです。実は、狩野さん…。
■狩野さん
「移住して6年になります。」
狩野さんは、もともとは、東京でシンガーソングライターとして長く活躍、機動戦士ガンダムシリーズの主題歌や挿入歌なども手掛け、日本の音楽業界をけん引してきました。しかし、2011年、そこに、転機となる、震災、原発事故がおきます。狩野さんは、被災地のためにと、パン屋さんのCMソングを作ったり、時折、福島を訪れては、子どもたちのために、ライブを開いたりしてきました。そして、自分を慕う子どもたちのため、狩野さんは、活躍の舞台だった東京を離れ、南相馬市への移住を決断。今では、多くの子どもたちがレッスンに通っています。そんな狩野さんのスタジオをのぞくと、単にレッスンをするだけでなく、子どもたちの居場所にもなっていました。レッスンの合間には、宿題をする子どももいますが、狩野さんには、気になることがあります。
■狩野さん
「うちに来てくれる子の中には、学校にいけない子もいます。」「親御さんもすごく悩んでしまうので、なるべく自然に学校にもいけてこっちにも来られる流れを作ってあげたいんですけど…」
各地で不登校なども課題となる中、こうしたこどもたちの受け皿について、狩野さんは、都会と地方の差を感じています。
■狩野さん
「東京だと、学校に行けない子は、行けない子が通うフリースクールがあったり、ダンスのスクールもたくさんあるので、私はこれを行きたいと言えば、それを教えてくれる先生であったり、お芝居をやったり。いろいろな選択肢があるが、被災地とか、福島の田舎の方では、なかなかそれぞれに見合ったものはないし。」
ハード面に目がいきがちな復興政策。一方で、被災地の子どもたちの教育についても、政治がしっかり、考えていく必要があります。さらに、福島の復興をめぐり狩野さんは、子どもたちのために曲をつくりながら、ふと思うことがあります。
■狩野さん
「みんながみんな福島のことだけを考えるわけではないし、みんなみんな自分の生活で精いっぱい。風化という言い方はあれですけど、忘れられることは多いなと思う。」
震災から14年あまり、致し方ない部分はありながらも、福島の震災の記憶が人々から消えていく。福島にとっては大きな課題です。だからこそ、狩野さんは、福島の今を子どもたちのエンタメを通じて、これまで以上に発信しようとしています。
■狩野さん
「できれば、福島県内はもちろんですけど、県外、西日本なんかは、私の実家西日本ですけど、もっと風化しています。風化というか忘れてしまっているレベル。そこに私たちの子どもたち、エンターテインメントで行って、実はね、こういうところから来ました、私たちはこんなところから来たけど、こんなに元気ですと伝えるともっともリアルに伝わるのではと思うので、これからもっと県外にどんどん発信して、日本全国に影響力が及ぶような浜通りになっていきたいし、」
子どもたちと福島にそんな、未来を描く狩野さん。今回の参院選で、一票にこめる思いは…。
■狩野さん
「福島の子どもたちの想いを届けたい」「特に被災地にいる子たちはこれまでの子たちと様子が違う子が育ってきてよいと思うし、それくらいの情熱と知恵と勇気、意志を持った子どもたちが、日本、世界で活躍してほしいと思う。そのためには自信をつけてほしいし、その子はその子なりの価値を伸ばしていけるような道筋を作ってあげてほしい。」
狩野さんは、ご自身の出身地である山口も含めて、離れた地域での風化を心配されていましたが、福島県にとって、風化は復興を阻害する大きな要素になりかねません。
震災に関するデータ、65パーセント。何の数字かというと…ことし1月に首都圏などを対象に行われた消費者庁の調査で、食品の放射性物質検査が行われているということを、「知らない」とこたえた人の割合なんです。この数字、年々、上昇傾向にあるんです。風評払拭のベースになる部分ですから、いかに関心を持ってもらうか、考えていく必要がありますね。そして、震災14年が過ぎて、中央官庁での風化も指摘されています。福島の復興には長い時間がかかりますが、若い官僚にも関心を持ってもらわなければ予算の確保などに影響が出かねませんよね…今回の選挙では物価高など、生活に直結する部分が注目されがちですが、国会では福島の復興もしっかり議論してもらいたいと思います。
(07/15 18:53 福島中央テレビ)
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