■「さて、あなたたちどう動きましょう?」中学生が防災と減災を学ぶ 福島(福島県)
全国各地で自然災害が相次ぐなか、東日本大震災を経験していない次の世代に何をどう伝えていけばいいのか。喜多方市の中学校では地域の人たちと一緒になって「防災」と「減災」を学ぶ取り組みが続けられています。
喜多方市の中学校。生徒たちが体育館に集まって来ました。地域の人たちの姿も・・・。
▽訓練を担当する教諭 蜿タ勝さん
「地域のために避難所設営を通してともに助け合える関係をつくっていこう」
これからはじまるのは災害を想定した訓練。地域の人にも参加してもらい、生徒たち自らが避難所を立ち上げ、運営します。訓練は、川が氾濫する危険があり、体育館が避難所になる想定です。
【訓練の想定】大雨で川が氾濫する危険市が避難指示中学校の体育館に避難所開設
▽訓練を担当する教諭 蜿タ勝さん
「近隣の住民が続々と、続々と大事ですね。結構たくさん来るらしいですよ。さて、あなたたちどう動きましょう?」
生徒たちは卒業までの3年間、学校で防災と減災を学びます。9月に行った3年生の授業。「避難所の運営」がテーマです。
▽防災と減災の講師 県立博物館 学芸員 筑波匡介さん
「みんなができることがあるのではないか。想像しておいてもらえたら」「みんなだったら多分、地域の人たちよりかは学校のことは詳しいはずなんで、対応してもらえれば」
この日の授業で学んだことは、「自分たちの学校だからこそ力になれる」。3年生にとってこの訓練は学んだことを実践する最後の機会になります。
▽訓練を担当する教諭 蜿タ勝さん
「台本は基本的にほとんど無いです」「先生方にもその場その場で必要なことを考えて子どもに投げ返してもらうようにお願いしています」
災害は突然、起きる。だから、台本はありません。あらかじめ決めていたそれぞれの役割をもとに自ら考えて動きます。
【役割】1年生 避難者役2年生 簡易テント・段ボールベッドの設置3年生 避難所の受付
テントや段ボールベッドの組み立ても…自分たちで。
男子生徒「事務室だっけ」女子生徒1「事務室」女子生徒2「事務室行こう」
電源を引くための“ケーブル”が必要なことに気づきました。どこにあるのか。自分たちの学校だからこそわかります。トイレがひと目でわかるように紙を貼り、床に物を置いて導線を作りました。入口に椅子を置き、お年寄りが座って待てるような工夫も。避難所の案内は漢字が読めない子どもや外国人のことも考えて、「ひらがな」にしました。段ボールベッドの数が足りないと判断し、みんなで考えたのは…跳び箱とマットの活用。そのままだと高さがあるので低くします。マットを敷いたら簡易ベッドが2つ完成です。
▽訓練を担当する教諭 蜿タ勝さん
「『跳び箱』って言ってああやって動き出せて」他の教諭「よく考えるよな」蜿タ教諭「毎年、アイデアが違うから面白い」
体調が悪い人向けの保健室も作りました。
■体調不良の人役の地域の人
男性「7度3分です」女子生徒「微熱ですね。休んでもらった方がいいかもしれません」
地域の人たちも自ら役割を見つけ、生徒たちと訓練に関わります。自分は何ができるのか一緒に想像すること。災害が起きた時、それが地域の力になる。訓練の目的のひとつです。「避難所運営」の訓練。参加した地域の人は…
▽参加した 地域の自主防災会の代表
「事前に練習していたんじゃないのかなと思うくらい、病気の人への対応というのがとっても素晴らしかったなと」
▽参加した喜多方市危機管理課の職員
「(受付で)平仮名を使うとか英語を使うとか、これは喜多方市の方でも勉強になる話で学ばなければならないなと」
生徒たちは…
▽女子生徒
「必要なものなどをあらためて確認することができたので」
▽男子生徒
「トイレのある場所を印すときに、どこに置いたらいいのかというのをわかりやすく工夫できたんで」
感想文にも率直な思いが綴られていました。「私たちが一番、一中を知っている。困っている人がいたら安心できるような対応をしたい」「ある物を使ってどれだけ多くの物が作れるかを工夫したい」
▽防災と減災の講師を務めた 県立博物館 学芸員 筑波匡介さん
「指示されて動くのではなくて考えて行動できるところがとってもよかったかな。正解が何かということではない」
▽訓練を担当した喜多方第一中学校 教諭・蜿タ勝さん
「自分の命を守る。地域を守る。イメージ作りなればいいのかな」
災害が起きたら自分は何ができるのか…。生徒たちは地域の中のひとりとして自ら想像し、考えることの大切さを学んだようです。
(12/08 19:01 福島中央テレビ)
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