■福島県内でも熊の目撃件数が増加 市街地に出没する熊も 特例で猟銃使用も…残る課題(福島県)
熊が活発に動き回る時期になり福島県内でも目撃件数が増え始めています。近年は市街地に熊が出没するケースもあることから、特例で市街地でも猟銃が使用できるようになりましたが、課題も残されています。やはり、生息域が広がっているのでしょうか。
「熊はいない」とされていた阿武隈川の東、つまり浜通りの大熊町で4月に熊が捕獲されたときの写真です。体長162センチ、体重72.4キロのオスのツキノワグマでした。
冬眠から目覚め、このところ福島県内でも熊の目撃件数が増えています。専門家は、冬眠明けの熊は行動が活発で危険だと指摘します。
■福島大学食農学類 望月翔太准教授
「冬眠明けというのは非常に熊がやせ細っていて、とにかくいち早くエネルギーをとろうとする。その過程で行動範囲が広がるため、中には市街地に迷い込んでしまう熊が出てくる」
その熊。生きるためとはいえ生息域が広がっていて、私たちの生活圏と近くなってきているようです。
全国に目を向けてみても住宅街に熊が現れたり、スーパーに熊が居座ったり、いわゆる「アーバンベア」が大きな社会問題になっています。こうした状況に、国は猟銃の使用を規制する法律を改正。市町村長の判断があればこれまで禁止されていた市街地での猟銃使用が可能になったのです。
2024年3月、会津若松市の東山温泉に空き家に熊が居座った際、猟友会が出動したものの、市街地で観光客も多く猟銃が使えませんでした。
このようなケースのときも今後は、市町村長が判断をすれば、猟銃の使用ができるようになります。ただ、課題も残されています。
■福島大学食農学類 望月翔太准教授
「手放しで喜べないところがあって(改正法は)夏以降に施行されますので、どのような条件下で猟銃を撃てるのかが定まっていない」
環境省は今後、自治体に向けに具体的なガイドラインをまとめるとしていますが、銃を扱う以上、人材の規制や育成も考えていかなければなりません。
ただでさえ、担い手不足が叫ばれる「猟友会」。そのうえ市街地で銃を撃つとなれば、撃つ側にも負担や不安を強いることになってしまいます。
■福島県猟友会若松支部 鈴木w支部長
「とにかく事故を起こしてもらいたくない。果たしてその人OKだして事故が起きた時は責任とれるのか、法が通ったのはいいけれど、詰めるところは詰めてそれから活動したいと思う」
模索が続く人間と熊との共存。市街地で猟銃が使用できるようになる制度の運用は、秋ごろまでに始まると見込まれています。
(05/02 18:43 福島中央テレビ)
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