■「これが正解なんだ」自分らしさを生かし芸術家に!葉っぱの切り絵が癒されると話題・福島(福島県)
見れば不思議と癒される、ある芸術作品の話題です。
福島市に2024年全国でも珍しい「葉っぱの切り絵」を展示するミュージアムができました。
擬人化された動物たちの日常が、多くの人の心をひきつけています。
手を取り合うカエルとフクロウに…こちらはウサギ!スイカを食べて、種を飛ばしています。
このおとぎ話のような世界観が表現されているのが…
■井上千沙アナウンサー
「こちらにある作品すべて1枚の葉っぱで作られていて、優しくて温かみのあるストーリーが表現されています」
実は、これすべて「葉っぱの切り絵」なんです!
作品を展示しているのは福島市にある「リト リーフアート ミュージアム福島」
2025年6月にオープンしました。
「葉っぱの切り絵」を中心に展示する全国でも珍しい美術館で約90の作品が飾られています。
作品を手掛けるのは神奈川県出身のアーティスト・リトさん、37歳です。
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「自由に発想を広げて楽しんでもらえたらうれしいなと思います」
今は、アーティストとして活動するリトさんですが、数年前までは会社員として働いていました。
ただ…
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「会社に入って3年たっても5年たっても同じようなことで怒られて、なんで自分はこんなにできないんだろうとずっと悩んでいた」
1つのことに集中しすぎてしまい周りと同じように仕事ができず職を転々としたといいます。
インターネットで「発達障害」という言葉を知り病院へ行くと30歳で注意欠陥多動性障害「ADHD」と診断されました。
進学や就職など環境の変化やストレスで症状が表面化し、リトさんのように大人になってから「ADHD」と気づくケースも少なくないと言います。
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「仕事ができないのは自分の努力不足とか怠けているとかではなく生まれつき先天的なものだったんだとわかってそれで一つ肩の力が抜けた」
診断をきっかけに自分自身を見つめ直したリトさん。
自分の個性を何かに生かせないかと試行錯誤します。
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「ぼくはお寿司屋さんにいたんですけれど、僕の作るお寿司は1番きれいってパートさんからは褒められていました。だけど遅いんですよ。やっぱり何か一つのことに集中するとすごく没頭して結構丁寧に細かくやるのは得意だったんですよ」
繊細な作業が求められる切り絵に出会い、世界が開けます。
アートの分野はまったくの未経験でしたが2019年から様々な作品を作りはじめ、毎日のようにSNSにアップします。
そして、2020年。
ジンベイザメや魚が泳ぐ姿を見る人たちを描いた「葉っぱのアクアリウム」がきっかけで注目され、今ではインスタグラムのフォロワーが60万人以上と人気アーティストの仲間入りを果たしました。
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「今日の作品はどういう人に見てもらいたいかなっていうのを最初になんとなく思い浮かべる。このテーマだったらどの動物が合うんだろうとか選んでいって、それをこの葉っぱの上に一体一体配役を選んで乗せていくって感じ」
数ある作品の中でリトさんが特に気に入っているのが…「雪の妖精」とも呼ばれている小鳥「シマエナガ」のカップルがマフラーを巻いて仲良く並ぶ作品。
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「細い線1本でつながっているですよね。シマエナガって体が白いのが特徴で、切り絵で表現すると色がぬれないので、この中を全部くりぬいて、背景を透かして体の白さを表現する」
乾燥させた葉っぱにペンで下書き。
その後ナイフ1本で切れ込みを入れていきます。
刃を垂直に刺して葉っぱをクルクルと回転させることで繊細な模様ができあがります。
作業は1ミリ以下の緻密なもので作品によっては8時間以上かかることもあるそう。
それでも!
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「もう無心ですね、何も考えない。ひたすら前の小さい穴を開ける没頭しているみたいな感じ」「でも終わった後に一気に電池が切れたように力尽きてふーって」
その芸術活動や技術が評価され2024年「やなせたかし文化賞」の大賞を受賞。
さらに大阪・関西万博にも作品が展示されるなど日本だけでなく世界中にも今、ファンが増えています。
自分らしさを大切にし「これが正解なんだ」と信じ続けることで、徐々にリトさんだけの見た人に癒しを与える世界観が作られたそう。
■訪れた人は
「心の中がスッキリとします。」
■訪れた人は
「娘がADHDです。やり続ければいつか実を結ぶ。」
リトさんの作品や活動は多くの人々の共感を呼んでいます。
■「葉っぱの切り絵」アーティスト リトさん
「会社員というなかなか自分の得意が生かせない場所から、ちょっと動かして新しいことを始めたおかげでこんなに人生が変わることができた。この人もこうやってできたんだから自分もできるはずだって、ひとつ励みにしてもらえたらうれしいなって思いますね」
(07/10 18:31 福島中央テレビ)
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