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リミットまで残り20年 除染土の県外最終処分は?理解醸成に向けた取り組み サッカーの試合会場でも(福島県)



福島の復興に向けた大きな課題として横たわるのが「中間貯蔵施設」に保管された除染土の県外最終処分です。国は2045年までに県外で「最終」処分する方針ですが、処分地をどこにするのかなど具体的な道筋はまだ決まっていません。リミットまで残り20年となる中、今回、「県外」での理解醸成に向けた取り組みを取材しました。

向かったのは仙台市。この日、スタジアムで行われたのはサッカーJ2、「いわきFC」のアウェイ戦=「ベガルタ仙台」戦です。約1万8000人のサポーターが駆けつけ、白熱の試合が繰り広げられました。

その試合が始まる3時間前。グルメブースや物販ブースが賑わいを見せる中、スタジアム内のコンコースに多くの人が集まるブースが。そこに置かれたパネルには「中間貯蔵施設」や「放射性物質」。「復興再生利用」といった言葉が並んでいます。こちらのブース、実は、中間貯蔵施設の土壌の再利用等を紹介するコーナー。

大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設。原発事故の後、県内の除染で出た土が、実に、東京ドーム11杯分も保管されています。「中間」という名の通り、「最終」処分場ではありません。国は2045年までに県外で「最終」処分する方針で、そのことは法律にも明記されています。

こうした中、国はことし8月、最終処分に向けて、当面5年間のロードマップを策定。少しでも最終処分する量を減らすため、放射性物質の濃度が低い土の再生利用も始めています。また、その5年で、最終処分の技術開発や候補地の選定。それに理解醸成も進めるともしています。

今回は、その取り組みのひとつ。サッカーの試合をきっかけに県外の人にも、この問題について知ってもらうことが狙いです。

ブースでは、中間貯蔵施設や除染土の再生利用に関するクイズに挑戦してもらい、参加者に被災地=飯舘村で栽培された花のしおりをプレゼント。さらに、環境省の職員が、ベガルタ仙台のOB選手に飯舘村で栽培された花を贈呈しました。

ブースを訪れた人からは、「誤った知識ではなくて正しく知って自分がどう判断するか大事だと思う」「ちょっと難しかった。初めてわかったので勉強になりました」「すごい難しい問題だと思っていて、どうしたらいいのかわからないのが正直なところ」「どうしても危険なものという認知のされ方をしてしまうが、きちんと処理をすることで、安全に処分できるということがより活用を通して広まっていけばいいと思いました」と話しました。

環境省が実施したアンケート調査では、除染土の県外最終処分や、再生利用について知っていると答えた人は福島県内の人と比べて、県外では、その半分以下に留まっているのが現状です。

福島地方環境事務所 復興再生利用企画課 岸 秀蔵 課長は「(除染土を)最終処分、再生処分していく際に大量の土壌が中間貯蔵施設に保管されていて、少しでも多くの方に現状を知ってもらって、それを受け入れてもいいという場所を見つけていきたいと思っていて、県内だけではなくて県外の方にも知っていただく場を今後も広げていきたいと考えています」と話しました。

理解の醸成が急がれる一方で、今、ロードマップで決まっているのは、この先の5年間のことだけです。その先については、何も決まっていないのが現実で、中間貯蔵施設が立地する地元自治体からは不満の声も上がってます。

大熊町 吉田 淳 町長は「ロードマップが示されたことは評価しますが、より具体的にスピード感をもって進めて頂くよう要望いたします。」

双葉町の伊澤 史朗町長は「最終処分地の選定から、処分完了までの具体的な時間軸が示されていないことなど本当に約束が果たされるのか強い危機感を抱いております。」

石原環境大臣は「2030年ごろ以降の進め方について、ロードマップにも位置づけた技術的な検討等を踏まえ具体化していきたいと考えている。」

2045年のリミットまで、残り20年。福島の問題を広く知ってもらい、そして具体的な道筋をどうつけていくかが求められています。

(12/03 06:00 福島中央テレビ)

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