■参院選を前に「人口減少対策」を考える 徳島・高知の中山間地域の現場から【徳島】(徳島県)
参議院選挙の投開票まで、あと3日となりました。
徳島や高知で暮らす有権者は、どんな思いで今回の選挙を見つめているのか。
7月17日は、両県にとって最大の課題である「人口減少対策」についてです。
山あいの小さな町、徳島県上勝町。
日本料理を美しく彩る「つまもの」を栽培・出荷する「葉っぱビジネス」や、ゴミの多分別でリサイクル率をあげ、ゴミゼロを目指す取り組み「ゼロウェイスト」は、海外から視察団が来るなど世界から注目されています。
しかし、その一方で、深刻な「人口減少」に悩まされています。
(上勝町教育委員会・立川信彦 教育長)
「上勝の小中学校は山間部で塾もないですし、保護者は子どものことを中心に考えていますので」
「それに応えれるような、環境作りが重要だと思っている」
町の人口は、1950年の6356人をピークに減り続け、現在は1300人あまりとなりました。
そこで町は、人口を維持するために子育て世帯に向けた様々な支援を始めました。
その一つが、小中学生に対しての無料の公営の塾。
ここには、町内の小中学生約50人が通います。
「100の位の数字は、9のほうが大きい」
上勝町には、民間の学習塾がありません。
町内には高校もないことから、子どもの学習環境の充実を求め、町を離れていく子育て世帯も少なくありません。
(保護者)
「小学校にあがる時とか、中学校にあがる時に、同じ学年の子が卒業と同時に転校してしまうというのが結構あるんです」
「理由を聞いたら、子どもがしたい部活がないとか、塾がないとか、そういうことで出てしまう人がいるので」
「子どもは次代のリーダーですから、子どもたちのために支援してもらえたらと思います」
しかし、今後、公営の塾の運営にあたっては懸念もあります。
(上勝町教育委員会・立川信彦 教育長)
「この学習会に対しては(費用負担は)国が三分の一、県が三分の一、自治体が三分の一という規定があって」
「徳島県で学習会を始めたのは、上勝町が初めてなんです」
「どんどん広がっていったら、国から(県に)おりてくるお金は決まっています」
「(学習会が)広がっていくのは良いことなんですけど、やっぱり(各自治体に対し)減額されていく」
「限界はあると思うのですが、これから苦慮するところではないかと考えている」
「異次元の少子化対策」が掲げられる中、「人口減少」に苦しむ自治体に対しての幅広い施策や、細やかな支援が政治には求められています。
高知県の中央北部に位置する、本山町です。
6月、吉野川の支流・汗見川沿いの宿泊型体験施設で、親子で楽しむ陶芸体験が行われました。
このイベントは、未就学児と保護者が対象で、町内の親子12組40人が参加。
ランチプレートも用意され、子育て中のパパやママにとってリフレッシュできる時間となりました。
(保護者・30代女性)
「親子の交流もできるし、すごい良い企画だなと思った」
(保護者・30代女性)
「なかなか親同士会わなかったりとか、お迎えとか送りの時間とかも違ったりして」
「見るけど話したことない、みたいない人もいるので」
「そういう人たちとも、こういうみんなが一緒に集まる場所があったら」
「ちょっと話すきっかけができるかなと思う」
イベントのきっかけとなったのが、町の保育所に子どもを預ける保護者への聞き取り調査でした。
保護者からは、「休日に親子で楽しめる場所が、町内には少ない」という声が多くあがったといいます。
(本山町立 本山保育所・式地愛子 所長)
「保護者の方たちって核家族化の方も多いですし、それから移住して来た方もいるんですよね」
「そういう中で、やっぱり孤立した子育てにならないようにというところで」
「すごく人とのつながりとか、居場所づくりが必要だなということを感じました」
四国山地に囲まれた本山町の人口は、50年前には6000人を超えていましたが、2025年6月現在の推計で2900人あまりまで減少。
「高齢化率」は、48.6%となっています。
町は2024年、「人口減少対策」のプロジェクトチームを設置。
高知県が創設した「人口減少対策総合交付金」を活用して、今回のイベントを開きました。
町では今後も県の交付金を活用して、子育て世代への支援を続け定住につなげたい考えです。
(本山町立 本山保育所・式地愛子 所長)
「やっぱり一番は、人と人とのつながりだと感じる」
「どこから来ても、いつ本山に来ても、安心できる場所があるんだというつながりが、大事かなと感じている」
「普段だったら話したことないお母さん同士が話をしたりとか、そういうきっかけになって」
「またこれから先、町内でも助け合って過ごしていけるという、きっかけの一つになったら嬉しいなと思う」
「人口減少対策」が争点の一つである今回の「参議院選挙」。
中山間地域で暮らす子育て世代が望むことは…。
(保護者・40代男性)
「特に田舎なので住むってなると、今、ガソリンも高いので」
「補助金が少なくなったりとか、無くなったりとか繰り返しているけど」
「間違いなく車がいる地域なので、そことかでも、やっぱこう変わってもらえると、生活しやすくなるかなとは思うけど」
(保護者・40代女性)
「医療は絶対必要だと思う」
「(町内に)病院は一応ありますけど、仕事終わりにすぐ駆け込めるような病院は、やっぱり午後5時とかで終わってしまってなかったりして、高知市内まで行く必要があったりする時もあるので」
「あと産院もないし、そこはほしい」
(保護者・50代男性)
「少子化って問題視されているけど、実際こう有効な手を打ってないと思うんですよ、現状」
「産もうって思えるような制度づくりを考えてくれるような候補者が良い」
「やっぱり、中山間地域をちゃんと見てるなっていう実感がほしい」
(07/17 18:31 四国放送)
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