■多様性を重視し医療的ケアも 障がい児の支援に特化した保育園【徳島】(徳島県)
障がい児の支援に特化した保育園が徳島市にあります。
そこで行われているのは、障がいの有無に関わらず、全ての子どもが一緒に過ごす多様性を尊重した保育。
どんな保育園なのか取材しました。
■インクルーシブ保育
徳島市にある「ゆずりは保育園」です。
2022年4月に、県内で初となる「障がい児の支援に特化した認可保育園」として開園しました。
ここでは、障がいの有無に関わらず、全ての子どもたちが分け隔てなく一緒に過ごして多様性を尊重する、「インクルーシブ保育」が行われています。
■「心の根っこを育てる」
(ハビリテ・太田恵理子 代表取締役)
「こういった環境でみんなが過ごすとどうなるかというと、障がいがあるお子さんにとっても日々刺激がものすごくありますし」
「定型発達のお子さんも、発達がゆっくりなお子さんに対して寄り添うとか、助けに行く姿が日常的にみられる」
「それは本当に、この子たちの心の根っこを育てていることに繋がっているなと」
■保育園をつくるきっかけ
この保育園を作った太田恵理子さん、元々は会社員でした。
しかし、太田さん自身が経験したある出来事が「ゆずりは保育園」をつくるきっかけとなりました。
(ハビリテ・太田恵理子 代表取締役)
「私が妊娠6か月の時に、息子の病気を宣告されて、突きつけられたときにすごくショックで、どん底で絶望的な気持ちになって」
「生後6か月の息子を連れて、片道40分かけてリハビリに行っていて」
「それで私自身がすごく疲れて、育休あけて復帰しようと思っていたら」
「どこも保育園が受け入れてくれなくて、仕事を辞めざるを得ないということになって、2回目の絶望」
そういった自身の経験から太田さんは「行ける保育園がないなら自分がつくればいい」と考え、会社を辞め「ゆずりは保育園」をつくりました。
■“児童発達支援事業所”も併設
ゆずりは保育園には、心と体に重い障害があったり、医療的ケアを必要とする子どもを預かる、児童発達支援事業所も併設しています。
ここでは、看護師や理学療法士が常駐し、健康チェックや必要な医療的ケアを行うなど、保育園にいながら一人一人に合った個別のリハビリを受けることができる、全国的にも珍しい取り組みを行っています。
■保育園に通う子どもたち
「つかさ君、きょうも一日頑張るぞー、オー!よくできましたー」
この保育園に通う伊藤士冴ちゃん3歳。
士冴ちゃんは2年前、男性の約10万人に1人の割合で発症する難病を抱えていることが分かりました。
それまで別の保育園に通っていましたが、難病を理由に通園を断られました。
(士冴ちゃんの母親・伊藤蒔絵さん)
「家だけでは子どもが味わうことができない体験というか、集団生活をさせてもらっているのでありがたいと思います」
「病状とかどんな症状があるとか把握してくれて、きめ細やかな対応をしてくれているので、今のところ不安はありません」
4歳の住友瑛斗ちゃんは、心臓に穴が開く先天性の疾患がありました。
生活をしていくうえで酸素チューブが必要だったことから、併設の児童発達支援事業所に通っていましたが、手術を経てチューブが外れたことをきっかけに、ゆずりは保育園に移りました。
母の祥子さんは、環境を変えることなく保育園に通えることができて良かったと話します。
(瑛斗ちゃんの母親・住友祥子さん)
「術後にすぐ申し込みもうまくいって保育園に移れたことはとても良かったし、送迎するこっちとしても、同じ場所に送っていけるので、場所見知りもなく移り変われたのかなと思います」
■“保育と医療を融合” 絶望しない社会
全ての子どもの幸せを願うことと同じように、その子を持つ親の気持ちに寄り添うことが大切だと、代表の太田さんは話します。
(ハビリテ・太田恵理子 代表取締役)
「親がニコニコ幸せだったら子どもも幸せ、その逆も然り」
「子どもが幸せに生きていたら親も幸せ、両方大事にしていこう、保育と医療を融合させた場所を日本全国に作っていって」
「当たり前に、誰でもが自分の人生を生きられる社会にするというそのことが、私の人生の使命だと思っています」
障がいのある子どもが生まれても、絶望しない社会にするために。
ゆずりは保育園の全ての人に寄り添う気持ちは、「親子を照らす光に」きっとなるはずです。
(10/20 18:02 四国放送)
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