■自らの経験を活かす 臨床美術で心の健康を【徳島】(徳島県)
眉山の麓にある小さなアトリエなどで、小学生を対象に絵画教室を開いている「臨床美術士」の女性がいます。
かつては、心の病と向き合ったこの女性。
自由に絵を描いて心の健康を保つ、臨床美術への想いに迫りました。
徳島市名東町。
眉山の麓にあるアトリエ。
小学生を対象に、ここで絵画教室を開いているのは、「臨床美術士」の資格を持つ峯菜実子さん45歳。
臨床美術とは、絵を描くことで心の葛藤を整理し、精神的な健康を保つ心理療法です。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「臨床美術は、対象物をそっくりに描こうとしたり、誰かみたいに上手く描こうとしたりするんじゃなくて」
「自分がこの線がきれいだなとか、この形がきれいだなとか、この色が魅力的だなと思って、クレパスとか筆を走らせる」
「そして、楽しみながら描いていくっていうのが大事かなっていう、美術の本質があるなと思いましたね」
そんな臨床美術には、右脳の活性化やストレスの軽減、自己肯定感の回復などに効果があると言われています。
峯さんは、母の幸子さんがこのアトリエで開いていた絵画教室を、7年前に引き継ぎました。
幼い頃は自身もここに通い、絵を描くことの楽しさを覚えましたが、学校生活では人間関係が上手くいかず、心の病に。
20代のほとんどを病気と共に暮らし、家族以外とは外出できなくなるなど、辛い日々を過ごしました。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「その時はもうめちゃくちゃ辛かった、人生が崩れ落ちてしまうかなと思ったんですけど」
「学校生活が辛くても、自分で絵を描いたりはしてたんで、絵を描いている時間はすごく心を解放できて、自由な気持ちになれましたね」
「絵を描くことは希望でもありましたね」
そんな中、偶然、目にしたチラシから臨床美術士の存在を知った峯さんは、約2年で資格を取得。
臨床美術を学んでいく中で、心の病は自然と治っていったといいます。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「精神状態が悪い自分でも、絵を描くことで元気になれるっていうのは、自分でも実証済みなので」
「絵を描くことによって、心身ともに元気になれるっていう学問を知ったので、これは私やってみたいなと思いました」
この日、絵画教室が開かれました。
教室は週に3回開かれ、小学生2人が通っています。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「今回は墨絵で描くからね、割り箸に墨付けて描いていきましょうね」
授業が始まりました。
子どもたちは画用紙の上で、筆を自由に走らせます。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「構成が上手くなったね、形取るのもすごい上手、重なりもいいね」
「カボチャ結構いろんな色・模様入っているから、よく見て描いてね」
「曲線にリズムがあっていいね、動きを感じるわ」
「きれいに塗ってくれてるし、枝ぶりとか葉っぱも柿に覆い被さってていいね」
峯さんは、子どもたちに絶えずポジティブな声をかけ、描かれる絵を優しく見守ります。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「絵を描きに来てる子、繊細な子も多いので、ネガティブなことは言わないようにして」
「思いっきり安心して取り組めるように、明るい言葉をかけるようにしています」
約1時間で作品が完成しました。
アトリエでの指導を終えた後は、徳島市佐古八番町にあるカルチャーセンター徳島へ。
峯さんは、美術を通じて多くの子どもたちに元気を与えようと、アトリエ以外にも県内3か所で、こども絵画教室を開いています。
(記者)
「いつもどんなこと言ってくれる?」
(絵画教室に通う子どもは)
「上手いとか、優しい言葉かけてくれる」
「(ここに来るの)楽しみ」
現在は小学生を対象に絵画教室を開いている峯さん。
今後は、臨床美術の知識を活かして、高齢者などにも絵を描く楽しさを伝えたいと話します。
(臨床美術士・峯菜実子さん)
「絵を描いたり、いろんなこと感じたり、いろんなことを観たりすることによって、子どもたちが成長していける」
「高齢者の方とか、大人の方とかも元気になっていけるように、私も臨床美術を続けていきたいと思います」
1枚の画用紙に自分が感じたものを、そのまま自由に映し出す。
峯さんのこども絵画教室では、美術を通じて心の健康が育まれています。
興味のある方は、絵画教室の「アトリエ ジョウビタキ」のホームページをご覧ください。
https://mine-k.site/news.html [https://mine-k.site/news.html]
絵画教室「アトリエ ジョウビタキ」のホームページ
(10/23 18:14 四国放送)
・TOP
Copyright(C)NNN(Nippon News Network)