みどころ

 

 被差別部落出身と明かして差別と闘う、山口県宇部市在住の川口泰司さん(45)。山口県人権啓発センターの事務局長を務めています。部落差別を中心に人権活動をしていて、全国の企業や団体から年間100を超える講演依頼を引き受けています。部落差別に怯える子どもたちの悩み相談に乗り、背中を押すこともあります。そんな川口さんの活動から見えてくるのは、今も部落差別は無くなっていないということ―。「無知、無理解、無関心であることが、あらゆる差別が無くならない要因のひとつ」と川口さんは言います。

 7年前、川口さんは仲間たちと裁判を起こしました。インターネット上に溢れる部落差別を無くそうと当事者で約250人の原告団をつくり、神奈川県のある出版社を訴えたのです。部落を特定する動画、全国5000を超える部落の地名を記したリスト、出身者の個人情報などをネット掲載したり出版しようとしたりしたことに対して差し止めを求め、同時に「差別されない権利」を主張しています。高裁判決ではおおむね認められましたが、裁判は最高裁で今も続いています。

 番組では当事者たちの声に耳を傾けます。インターネット上に個人情報を晒された41歳の女性は「子どものことを考えると不安で仕方がない…」と涙ながらに語ります。新聞紙面上で部落出身者ということを明かした27歳の新聞記者は「『穢れる(けがれる)』と言われたら、嫌じゃないですか?」と憤ります。ある中学生は「将来、結婚できるのでしょうか…」と不安を募らせます。

 番組を通して部落差別が今も続く現状を伝えるとともに、私たちの中にある差別意識と向き合います。

放送日時
 

NNNドキュメント'23
いろめがね ~部落と差別~
2023年11月19日(日) 深夜0:55~1:50