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ちひろとみすゞの朗読Time

10月26日にご紹介した金子みすゞの詩

『落葉のカルタ』
自然界で繰り広げられるカルタ取り。この詩を読むととても楽しくなります。
落葉がカルタ、それも虫食いの跡を「虫くい流」という流派にしているみすゞさんのセンス。そして読み手は鳥で、カルタを取るのは風なんです。なんて素敵なカルタ取り。私もその仲間に入れてほしいような、それを見物していたいような。
みすゞさんのまなざしは、自然界をとても楽しんでいるように映ります。

10月19日にご紹介した金子みすゞの詩

『秋のおたより』
実りの秋と言いますが、この詩を読むと気づかされます。実りがあるのは、山で、町は木々の葉っぱも枯れ、鳥もどこかへいなくなり、町の自然界はさみしくなる。山から町へのおたよりと、町から山へのおたよりで、随分秋の感じ方が違うこと。みすゞさんは私たちにいつも、日常の忘れそうなことに気づかせてくれます。

10月12日にご紹介した金子みすゞの詩

『梨の芯』
梨の芯をどう食べるのか、そう捨てるのか。人間側からすると、ちゃんとゴミ箱に捨てることが一番良いとされます。そのへんに捨てたりは、お行儀の悪いこと。
でも、蟻からしてみると、そこらへ放り投げて捨てたおかげで、自分たちの食料にありつける。そんな蟻に感謝される投げ捨てた子ども。皮肉なものです。みすゞさんはこうした目線もあって、それが面白いです。世の中は、皮肉なこともいっぱいあるんだよと、それを受け入れているみすゞさんの心の大きさ。心のゆとり。いいですね。遊び心があることって、なんだか心が穏やかになる気がします。今の時代に、とても大切なことかもしれません。

10月5日にご紹介した金子みすゞの詩

『木』の2編
金子みすゞさんの詩には、いくつか同じタイトルの詩が存在します。この『木』もそうです。みすゞさんにとって、詩のタイトルが同じだということは、さほど気にならないことなんですね。それだけ、その言葉が、その存在がシンプルに好きなんですね。同じタイトルになるからと言って、他の表現にはしたくない、そのままの響きが好きな気持ちを尊重しているのかもしれません。自分が「好きだ」という気持ちをそのまま素直に、いろんなことを気にせずストレートに表現する。気持ちの良い潔さです。
ぜひ、この2編それぞれを味わってみてください。

9月28日にご紹介した金子みすゞの詩

『空いろの花』
ニューアルバムに収録した詩のひとつですが、私にとってこの詩は自分の活動に背中を押してくれる大切な詩です。「自分の見つめてきたものを信じて、大切に思っているものを信じてそのまま、続けていきなさい」そう聞こえてくるんです。地位や名声よりも大切なものがある。本物を、本質を見つめる姿。これが金子みすゞさんの優しさと強さだと思います。

9月21日にご紹介した金子みすゞの詩

『秋日和』
初秋の日本の大好きな光景のひとつに、稲刈りされた田んぼの風景があります。金子みすゞさんもとても好きだったようです。この詩は、秋晴れの空に、刈られた稲が干され、街道を稲積んだ車が行く、そしてそこにモズが高鳴く。
なんとも素敵な日本の原風景がそこにあります。この詩を味わうと、「あぁ日本人でよかったな」そんな気持ちにもなるような世界です。モズのことを「もずきち」と呼んでいるこの愛称もまた、とても心がほっこりします。秋晴れの日、この詩を思い出してみてください。

9月14日にご紹介した金子みすゞの詩

『土』
金子みすゞさんのまなざしは、日頃私たちが忘れている存在にも、全てに同じように眼差しを向けています。耕される畑の土、道路の土、人間の営みに関係する土はみんな気にかけますが、ほったらかしの自然界の土は「要らない土」か?と問います。そしてそれは「いえいえ、それは、名のない草のお宿をするよ。」と。
なんて、素敵な優しい眼差しでしょう。私達の世界に、要らないものは何もない、みんな関係し合って生きている。その思いが広がる詩です。

『土と草』
ニューアルバムに収録した詩のひとつです。これも、土は草を育てたら自分の姿は見えなくなるのに、それでも草を育む土を詠っています。表に見える成長する姿の裏に、見えなくても支える存在がある。物事全てそのバランスがあります。大切な見つめ方、生き方、ですね。

9月7日にご紹介した金子みすゞの詩

『露』
9月24日にリリースするニューアルバムに収録した1編。思いやり溢れるこの詩の心は、まさにみすゞさんの姿そのものです。花からこぼれた露を涙に想う眼差し。泣いた噂が広がったら、その花の密を吸った蜂が、自分のせいだと思って蜜を返しにいくかもしれない。だから、このことは、誰にも言わずにおきましょう、と。うわさ話は時として誰かの心を傷つけたり、思いもしない方向へ広がります。この思いやりの原点があれば、みんな、悲しまないかもしれません。

8月31日にご紹介した金子みすゞの詩

『帆』
私が金子みすゞさんの詩に曲をつけている詩も、この新曲「帆」で48曲となりました。いつも光輝くはるかに遠い舟を見つめて、みすゞさんは夢を、希望を描いていた。そんな思いがきらきらと輝きながら伝わってきます。9月24日ニューリリースするアルバムの新曲、1曲目に選んだこの詩。今の私の気持ちも乗せて、輝きながら舟は行きます。

8月24日にご紹介した金子みすゞの詩

『夏の宵』
夏の夕暮れから夜に移り変わる頃って、なんだかちょっと切なさがあって素敵な時間ですよね。その空で、「星がハモニカ吹いている」という表現、なんて素敵なんでしょう。夕暮れのグラデーションの空に、ハモニカの音が響き渡っているのを想像するだけで、心が溶けていくようです。

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