『四月』
新年度を迎える時期に毎年この詩を想います。いろんなことが新しくなる4月ですが、金子みすゞさんの端的な表現が、また見事にその喜びをストレートに伝えてくれる詩です。自分のいろんな思いを伝える時、実は言葉数が少ないほうが相手に伝わりやすいものです。いろんな説明や背景を付け加えるよりも、相手の解釈に委ねる心の余白があったほうが不思議と心を傾けてくれます。金子みすゞの詩もまた、必要最小限の言葉数だからこそ、読み手がぐっとその詩の世界に入り込みたくなる。新年度も、みすゞさんの眼差し、また新たに分かち合っていきましょう。
『金米糖の夢』
春の田舎のお菓子屋さんの素朴な風景の中で、硝子の瓶に入れられた金平糖が、その瓶から飛び出して、夜のお星さまになる夢を描いている詩です。実は、先日開催したデザートプレート付のコンサートのデザートメニューには、この詩にちなんで、料理長さんの粋な計らいで、硝子の器に金平糖をアレンジして添えてくださいました。私たちの周りのいろんなものにも、いろんな思いがある、そんな眼差しで日常を見つめると、毎日がより一層優しい世界に映る気がします。それが、金子みすゞの眼差しの世界ですね。
『草原の夜』
寝静まる真夜中、草原では月のひかりと、天使によって、草花が成長していく。その様子をなんとも神秘的に描いている素敵な世界。それも、人間や生き物たちが草花によって喜ぶ姿を自然界が知っていて、また明日も喜ばせようとしている思いが映し出されています。私たちには自然界の思いは見えてはこない、でも、慮ることは出来ます。それは人間と自然、人間と生き物、人間と人間、全ての間で大切なこと。私たちは、人間として大切な眼差しを、自然界からも受け取っています。
『魚売りの小母さんに』
山ざくらが出てくる春の詩です。子どもは大人がオシャレにしていることが好きなのでしょうか。子どもが、魚売りの小母さんの髪に、山ざくらを挿す、その時の心模様が描かれている詩です。美意識、元々子どもはとても高いのかもしれませんね。仕事柄、オシャレをしていない小母さんにも、綺麗な井出達でいてほしい、純粋な子どもの綺麗な心が映し出されています。私たち大人は、自分の都合でいろんなことを決めていますが、子どもにはその一つひとつがとても大きく影響していたりすることを、この詩からも少し感じる気がします。
『星とたんぽぽ』
金子みすゞの詩の代表作のひとつ、と言えるでしょう。見えない中にこそ大切な姿がある。情報や物の溢れる現代に投げかけるメッセージが伝わってくる詩です。星の輝きは、時々亡くなった命の輝きに例えられ、たんぽぽなどの植物たちの根っこは、英語で「ルーツ」です。ルーツは、私たちの先祖のことも指す英語。私は、みすゞさんが星とたんぽぽの根っこで伝えてくる、この詩の心に、亡くなった命と繋がる命、命の輝きをこの詩に感じてなりません。受け継がれる命こそ、私たちにとって大切な輝きですね。
『宵節句』
3月3日は雛祭り。その前日の「宵節句」の切なくなる思いとは・・・
子どもらしい「虫歯」の痛みが、せっかくの楽しい気分を台無しにしている、そんな可愛い詩の世界です。いろんなイベントごとを楽しめるのも、自分の体調あってこそ。皆さんもしっかり、歯のメンテナンス、日頃から心がけましょう♪
『芝草』
芝草は、手入れが大変ですよね。そして、お花も目立つわけではないですし、いろんな他の鮮やかな色合いの草花に私たちは目がいってしまいます。でも、みすゞさんは、芝草の丈夫さ、その強さがあるから野原じゅうに敷き詰められていて、そのおかげで、寝っ転がって楽しむことが出来ると、芝草のいいところを改めて見つめています。
みんなそれぞれに、いいところがある。私たちはみんなそうですよね。「みんなちがって、みんないい。」金子みすゞの名言とも称されるこの言葉の思い、私たちの生きる世界には、沢山の「みんなちがって、みんないい。」があります。
『金米糖の夢』
小さな砂糖菓子の金平糖。(金子みすゞの詩では漢字が平は米を使っています)
その小さなお菓子にも、大きな夢がありました。海の彼方の遠い空に光る星。そのお星さまになりたい金平糖たち。この詩は特にアニメーションが浮かんでくるファンタジーな世界。好きな方も多い詩です。歌にもしている詩のひとつ。この詩を知ってからは、金平糖が以前よりもっと、愛おしく感じるようになりました。
『お魚の春』
春が来ることはやっぱりどの生き物も嬉しいでしょう。お魚の世界もそのようです。若いもずくの芽の青さ、きらきら光る海の景色・・・いのちの輝き、景色の輝き、いろんなものが眩しく目に映ります。それが金子みすゞさんのセンスによって、とても楽しく可愛らしく伝わってくる。この詩も、とってもかわいいので、ぜひ春の喜びをこの詩で味わっていただきたいです。
『二つの小箱』
この詩でみすゞさんは南京玉が大好きな気持ちを表現していますが、実は金子みすゞさんの愛娘・上村ふさえさんが3歳の頃、みすゞさんはふさえさんの何気ないおしゃべりを、手帳に書き記していましたが、その手帳のタイトルを「南京玉」と名付けていました。どれだけ一人娘が愛おしかったかが、この詩からもよくわかります。512編のみすゞさんの童謡と共に、その「南京玉」もぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
『誰がほんとを』
私が曲を付けている詩のひとつ。
以前、あるきっかけでこの詩と私の歌を知った方が、「会社で嫌な思いをしているけれど、この詩でとても勇気がわいた」とメッセージをいただいたことがあります。みすゞさんも(自分に本当のことを言ってくれているのだろうか・・・)と不安や寂しさが心を覆うことがあったのかもしれません。自分の悲しみと同じ感情を抱いた存在は、時としてそれが勇気に繋がる、自分ひとりじゃない、頑張ろうという気持ちに繋がることもあります。金子みすゞさんの詩の心は、本当にいろんな思いを救ってくれる、大きな存在です。